「美月ー! 早く起きなさいよー」
「んーー……」
夏休みに入り、大勢の人たちが集まる学校生活がないという思いが私の心を緩ませていた。
夜更かしのせいで、まだ眠い……。
「今日からバイトでしょー!? エー子ちゃん来るわよー」
お母さんの大きな声と、バイトという言葉にバチッと目が覚めた。
私は急いでベッドから飛び降りる。
今日からバイトという緊張も相まって、昨晩はちょっと寝つきが悪かった。
ご飯なんて食べてる時間はない。
急いで身支度を整える。
「まったくもう! そんなんでバイトなんて出来るのかしらねぇ」
「……」
嫌味たらたら……。
お母さんは私の障害が気になって、バイトなんて大反対だった。
お父さんを丸め込み、やっと了解を得たのだ。
「エー子ちゃんにも、バイト先にも迷惑かけないでよー」
「……はいはーい」
だからこの、お母さんの嫌味の嵐。
ピンポーン
「あ! エー子だ!」