「幼稚園のバイトなんだけど」
「幼稚園!?」
「保母さんみたいなことじゃないのよ。雑用っていうかね、お手伝い的な。その週末に七夕祭りがあって、その準備に人手が足りないんだって。それで今の時期だけ短期のバイトを募集してたの」
「短期ってどれくらい?」
「5日間。もちろん七夕のお祭りにも参加なんだけど」
「5日間か……それくらいなら私にもできるかなぁ」
「出来る!出来る! 七夕の飾りを作ったり、幼稚園の雑務をしたり。難しいことはないと思うけど」
「うーん……」
それでもやっぱり、不安は消えずにいた。
「お願い! 美月の出来ないことは私がフォローするから!」
目の前でエー子が手を合わせた。
「う……うん……わかった」
なんでそんなに必死になるのか……。
そんなにエー子は幼稚園のバイトがしたいのか、その理由を私はまったく知らなかった。
ただ、部活もしていない私には、夏休みを一人で過ごすには長すぎて……。
もし、バイトをするのが怖いという思いを克服できるのなら……少しでもその恐怖がなくなるのなら……。
その思いに期待をしていた。