「……」
あの頃の私は周りをちゃんと見ていなかったのかな……。
本当に自分勝手で、自分のことしか考えていなかったのかもしれない。
「だから葉山先生のこと、アタシに話してくれた時は嬉しかったんだ」
「エー子……」
「人ってさ、そうやって相談してくれたら、なんでもしてあげたい!って思っちゃうもんなんだよね」
エー子……。
「ありがと」
それは誰でもじゃない、エー子の優しさからくるものだと感じた。
「まぁ……恋愛なんてそんな気持ち、私イマイチわかんなかったしね。嫌な思い出ばかりで……」
私はため息をついた。
「まあ、そうだけどさ。美月、美人とか可愛いって言われるくせに、恋愛初心者なんて誰も思わないよ。詐欺よ詐欺ー」
「詐欺ってあのねー! 言い方、言い方ー!」
「ギャップって怖いねー」
なんとなく二人で大きなため息をついて、そして笑った。
このドラゴンヘッドとドラゴンテイルって、当たってて怖いな……。
私はプリントをパラパラとめくった。
私ってそんなんだったんだな……思い返して、またため息が漏れた。