「なぁに? 勉強って?」
お母さんが気になる様子で、私が持つ資料を指さした。
「星座の勉強」
「星座? 美月、昔から星占いとか女の子が好きそうなものに興味はなかったじゃない」
「……」
どういう意味よ。
「……別に、興味がなかったわけじゃないよっ」
「そう? 見た目はいいのに、性格は男の子みたいだからね、美月は」
「えー、さすがに失礼ー!」
雨の中、二人で笑う。
お母さんが思った以上に心配していなくて、笑顔で良かったって思った。
『見た目はいいのに』がホント、余計だけど。
自分は望んでいないのに、『見た目はいい』ということが、今の私の生きにくさを生んでいるのかな……。
「はあ……」
今日はため息が無意識に何度も出る。
傘の間から空を見上げても、やっぱり今日は星は見えない。
梅雨が明けると暑い夏がやって来る。
そうしたら、この重苦しい気持ちも少しは晴れるだろうか……。
早く夏の星座に出会いたい……私はそんなことを曇った空に願った。