「今でこそコミュニケーションが取れないなんてことも克服してるけど、やっぱり人混みは苦手だよな。だから電車の中でも人に声をかけられたりが嫌で本を読んでる」
「あ! それ私も一緒!」
私の言葉に先生が笑った。
「君はオレにないものを持ってる。障害のことでの悩みは多いかもしれない、でも何か改善出来るものがあると思うんだ。それを探していこう」
「……」
『探していこう』
その言葉が嬉しくて……。
一人じゃないと思わせてくれて、涙が出そうになった。
「次は、瀬戸駅~瀬戸駅~」
私が降りる駅のアナウンスが流れた。
気づけば、6つの駅をあっという間に過ぎていた。
スマホを見ると、また家からの大量の着信が届いていて、『あー……』と心の中で思った。
またお母さんが心配してるよなぁ……。
ぜんぜん返事をしない私に、LINEを見ると、『瀬戸駅まで行くから待っていろ!』と荒々し感じのメッセージが一方的に書かれていた。
まぁ……返事をしない私がいけないんだけど……。