「毎朝、電車の中で見ていた君は、いつも友達に囲まれて楽しそうに笑っていた。もちろん君は美人だから目立つ存在で、制服から中央学園の生徒の中でもウワサされるくらいの存在だって周りの声で知っていた」
「先生……」
あの頃の私は、すべてが楽しくて、本当に悩みなんてなくて……。
「それがいつからか姿が見えなくなって、電車に乗る時間が変わったのかなって思っていた。でも、また君を見つけた時、君はいつも一人うつむくようになっていた。あきらかに以前とは違うとわかっていた」
「……」
事故の後、人の顔を見るのが怖くて、うつむくようになった……。
そんな私を先生はずっと、見てくれていたの……?
「……」
「……」
また少しの無言。
先生は再び口を開いた。
「……オレは、人とコミュニケーションを取れない人間だったんだ」
「え?」
「教師なんてやってるのに、コミュニケーションが取れないってなんだよって感じだよな」
そう言いながら笑った。