「大丈夫!?」

「どうしたの!?」


ホームにいた人たちが集まって来て声をかけてくれる。


「……あ……ありがとうございます」


「どうしましたか!?」

駅員さんの制服を着た人が走り寄って来るのが見え、ホッとした。

たくさんの人から支えられ、私は近くのベンチに座った。

見ると、手首には真っ赤な手の痕がついていた。


「……」

手首の痕を見て、恐怖に再びぶるっと震えた。


「若い男の子が突然その女の子を突き飛ばして……」

「ホームに着いていた電車に飛び乗って行きましたよ」

見ていた回りの人たちが駅員さんと話しをしている。

私を突き飛ばし逃げて行った男性を、目の前にいた私なんかよりも周りの人がよく見ていて、たくさんの証言が出ていた。

どんどん人が集まり出し、その中には学生の姿もあって「羽田 美月」と口にする人たちもいた。

私は深くうつむいた。


「……」

こんなことで目立ちたくないのに……。

思い出すだけで怖くなる……。

赤くなった手首を握りしめた。