「お腹空いちゃった。何かある?」
「もちろん、ご飯の用意してあるわよ」
「やったー」
私は何もなかったように笑顔を見せる。
「美月、学校で嫌なことがあったり、悲しい思いをしたり、そんなことがあったらすぐに言うんだぞ」
「お父さん……」
いつも優しくて、揉め事なんて嫌いなお父さん……。
「うん、ありがとう」
こんな二人に心配かけたくないし、不安にさせたくないとは思う。
それは、障害を負ってから強く思うようになったことだった。
それまでは好き勝手やって、両親のことなんて何も考えてなかったから。
だから……嘘と真実を上手く使わなければと思うことが増えた。
きっとそれが、両親も自分にもいいことなんだって思っていた。
━━━━この時までは。