カチャ……。

「ただいまー」

そっと扉を開け、小さな声で挨拶をする。

出来れば聞こえて欲しくなかったけど、その小さな声さえも聞き逃さず、お母さんが慌ててリビングから飛んで来た。


「美月!」

その後を追うように、お父さんも出て来た。

「美月、何してたんだ!」

「そうよ、何度も電話したのよ!?」

「……ごめんなさい」

そっと顔を上げお母さんを見ると、目が腫れているのがわかった。


「……」

泣き腫らした目……思い切り罪悪感……。


「……学校で、ちょっと嫌なことがあって……」

「学校で嫌なこと?」

「さっきの……金田先生からの電話が関係あるの?」

「もう大丈夫。エー子に話し聞いてもらったらスッキリした。遅くなっちゃって、ごめん」

「エー子ちゃん?」

「……」


お父さんもお母さんも納得していない感じに思えたけど、私はそれ以上話すつもりはなかった。