「連絡先、教えて?」
「へ?」
わたしはポカンと広瀬くんの顔を見た。
「いや、ずっと訊こう訊こうと思ってたんだけど、いつも忘れててさ」
笑いながら言われて、なんだか拍子抜けしてしまった。
「そ、そう」
……ほんの一瞬、なにかを想像してしまったことは、なかったことにしよう。
携帯を開いたまま固まるわたしに、広瀬くんが首を傾げる。
「もしかして、やり方わかんない?」
「いつも人にやってもらってたから……」
といっても、両親と来海たちの連絡先くらいしか登録していないんだけど。
「愛音って、勉強以外は全然ダメだよなー」
「な、失礼……!」
その通りだけど。どうせ逃げ足が速いだけくらいしか取り柄がないガリ勉ですけど。
「褒めてるんだよ」
「どこが!?」
まずアプリを開くところから教えてもらって、ようやく交換できた。ほんとうに、機械に関しての記憶力はおばあさん並みだと我ながら思う。