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「なんかごめんな、騒がしい奴らで」
乃亜さんたちと別れてから、広瀬くんが言った。
「ううん、ていうか広瀬くん、ノアちゃんと仲良いなんてすごいね」
いつの間にか呼び方が親しげになっている来海に、広瀬くんは「あー、まあね」と笑って言葉を濁した。
「じゃあね、また明日」
「バイバーイ」
手を振ってわたしたちとは反対方向に向かう来海たちはすっかり打ち解けた笑顔で、今日1日でふたりの距離がぐっと縮まったのがわかった。
うまくいってよかった。来海も上谷くんもお互いが大好きで、大切にしながら、少しずつ距離を縮めていって。微笑ましくて、そんな関係が少し羨ましいくなる。
「わたしたちも帰ろっか」
さっきまでは明るかったのに、あっという間に近づく夕暮れの街並みをわたしたちは歩く。来たときよりもずっと気温が低くて、いよいよ凍えそうになりながらわたしはコートの襟を手繰り寄せる。
「愛音」
とふいに、広瀬くんが言った。
「あのさ、ずっと言おうと思ってたんだけど……」
「な、なに?」
薄暗いなかで見る広瀬くんの表情が、いつもより真面目に見えて、ドキリとした。