「……わたしは、ただの、友達、だから」 喉の奥から声を絞り出すように、わたしは言った。 そう、学校帰りによく会うだけの、ただの友達。 それだけだから。 「そう」 と彼女はきれいに微笑んだ。 「わかってるならいいの。じゃあね」 バタンと閉められたドアの向こう。乃亜さんと広瀬くんのいる場所に、戻りたくなかった。 どうしていいのか、前よりもっとわからなくなってしまった。