そのとき、入口のドアが開いて、騒がしい集団が入ってきた。思わず振り返って見て、わたしは目を見開いた。
「あれ、慧!?」
そのなかの1人が、奥の席に座っているわたしたちに目ざとく気づいて駆け寄ってくる。
「ーー乃亜」
「キャー偶然!なにやってんの?この人たち誰?」
「この前会っただろ。愛音と、来海ちゃん。あとおれとおなじクラスの神矢」
「……ノア?」
来海が目を見開いて、乃亜さんを見上げてつぶやいた。
「え、うそ、広瀬くん、友達なの!?」
「あー、うん、まあ」
「そうだよーっ、小学校のときからずっと仲良しなんだ。ねっ?」
ニッコリ笑う乃亜さんは、このなかにいる誰よりもキラキラと眩しいオーラを放っていた。
「まあ、そういえばそうだな」
「ちょっと、そういえばってなに!?」
乃亜さんの友達らしきほかの子たちも集まってきて、
「あ、広瀬くんだー」
「隣いいー?」
ひっそりしていた壁際の席が、一気に騒がしくなった。