シアタールームのドアを開けると、館内は薄暗かった。
「もうすぐ始まるみたいだね」
わたしたちは少し急いで、チケットに書いてあるのとおなじ席番号を探した。
4人並んで席に座る。なんだかすごく、変な感じがする。そわそわする。絶対また、顔に出てる。また広瀬くんにからかわれるのが嫌で、来海に助けを求めるけれど、受付でもらったパンフレットを見ながら上谷くんと楽しげに話している。
ーー全然、緊張なんてしてないしっ!
わたしの心の叫びなんて、付き合いたてホヤホヤの2人には届くはずもなく、すでに携帯の電源も切ってしまってどうすることもできないまま、まだ始まってもいない画面をじっと見つめて時間をやり過ごした。
幸い、始まるまでの時間はそんなに長くなかった。パッと照明が消えて、それを合図に話し声もなくなった。
映画はよくあるアメリカのヒーローものだった。悪者が街を荒らして、主人公の少年が悪者を退治する。
正直に言って、あまり趣味ではなかった。ヒーローものなんて、展開も結末もわかりきっているし、意外性もなにもない。単純なストーリーは、子どもにもわかりやすくするためだ。高校生になってまでこんなの子どもっぽいしーー
なんて、最初は思っていたのに。
30分も経たないうちに、その認識は覆されることになる。
ーーうわ、危ない!後ろ後ろ!
ーーやった、倒した!
気づけば、わたしは思わず叫んでしまいそうなくらい、両手を握りしめてスクリーンに魅入っていた。