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約束した日曜日は、秋らしくからりとしたいい天気だった。
「おはよー」
「おはよう」
「ねえねえ、この服変じゃないかな?」
と来海が言う。
それをわたしに訊くのは間違っていると思いながら、わたしは首を振った。
「全然。すごく可愛いと思う」
「ほんと?ありがとう!」
普段からおしゃれに気を遣っている来海は、私服も可愛かった。器用に編み込みされた長い髪は、いつものストレートヘアとは違う雰囲気で新鮮だ。
それに比べてわたしは……。
あまりにシンプルかつ女らしさなんてかけらもない格好。いくらわたしのデートじゃなくても、気を使わなさすぎたと後悔する。
待ち合わせ場所には、すでに広瀬くんと上谷くんが並んで待っていた。
「来海さんっ!」
嬉しそうな笑顔を顔いっぱいに広げて、ぶんぶん手を振る上谷くん。相変わらず見た目は個性的だけれど、休みの日はリーゼントと改造学ラン姿ではないらしく、前よりはほんの少しマイルドなヤンキー風になっていた。
「ふたりとも、おはよう」
「お、おはようございまッス!」
ギクシャクした微妙な距離感に、見ているほうは恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちになる。