『霧崎ノア』

聞き覚えのある名前。見覚えのある姿。首を傾げてわたしを見つめるくるりとした大きな瞳。

「もしかして、モデルの……?」

目の前にいる美少女は、間違いなく学祭のときに騒がれていたあの人だった。

「あ、知っててくれた?うれしー♪」


ふふ、と笑う彼女は、ほんとうに人形みたいに可愛くて。

ーー広瀬くん、こんなに可愛い女の子と仲いいんだ。

広瀬くんが誰と仲がよくてもわたしには関係ないのに。

胸の奥が、ざわざわと揺れた。