あれから1週間近く。わたしはどういう風にきみに接していいか、わからないでいる。
普通にしていればいい。きっと、広瀬くんだって、そう望んでいる。だけどやっぱり、知らなかったときとはおなじようにするのは難しくて。
「愛音、どうした?ぼうっとして」
「……なんでもない」
「そっか、ならいい」
「…………」
ーーねえ。
どうしてそんな風に笑えるの。
どうしてきみはいつも、人の心配ばかりしてるの。
わたしはきみのことを知れば知るほど、わからなくなる。
そのとき、突然、
「慧っ!」
流星のごとく、女の子が飛びついてきた。ものすごい美少女が。
「うわっ!」
飛びつかれた広瀬くんは、よろけながら、慌てて態勢を直す。
「おい……なんだよ、乃亜」
「あっ、なにその反応!久しぶりに会ったのにーっ」
「朝会っただろ、学校で」
呆れたようにため息を吐く広瀬くん。
ポカンとするわたし。
「はじめましてー。あたし、霧崎乃亜っていいます♪」
ふわふわしたミルクティー色の髪の人形みたいに可愛らしい女の子が、広瀬くんに抱きついたまま、ニッコリとわたしに笑いかけてそう言った。