授業が終わって、教科書を片付けていたら、机の前に、幽霊と見間違えてしまいそうに青白い顔の人がぬっと現れた。
石田くんだった。
「倉橋さん……」
「石田くん、すごい顔色悪いけど、大丈夫?」
「大丈夫、気にしないでくれ……」
どう見ても大丈夫そうじゃないんだけど。
「倉橋さん、ちょっといいかな……」
石田くんは消え入りそうな声で言った。
なんか最近このパターン多いな、と思いながら、
「いいよ」
と答えて教室を出た。
教室から離れた、静かな廊下。この間、来海と話をした場所だ。
短期間に2度も、しかも今度は石田くんに呼び出されて来るなんて、思いもしなかった。
なんだか告白みたいなシチュエーションではあるけれど、目の前に立っている石田くんは死にそうな顔をしているのでそれはない。
というか、なんとなく想像はつくけれど……。