私服の学校でなぜわざわざ学ラン着用……。
「これ、親父のお下がりなんです。この学校出身で、いつも話聞いてたから、この学ラン着るのが憧れで……去年から制服なくなったんですけど、やっぱりおれの憧れだから」
目を細めて語る上谷くん。しかし見た目のインパクトが強烈すぎてなにひとつ内容が頭に入ってこない。
でも、怖い人ではなさそうだというのは、なんとなくわかった。
「そういえば、広瀬と連絡つかないんすよ。さっきから電話してんだけど」
「え?」
この後は、4人で回ることになっていた。
「なにやってんだアイツ。教室にもいなかったし」
「約束忘れてるのかな」
来海の言葉に、上谷くんが「いや、それはない」と首を振る。
「アイツは約束は絶対破らないから……でも、もしかして、なんかあったのかも」
「えっ、なにかって」
上谷くんは言いづらそうに口調を濁す。
「うちガラ悪い奴多いし、よく絡まれるんだ。……アイツ、いろんな意味で目立つから」
「絡まれるって、ケンカってこと?」