館内は最初から大盛り上がりで、最初は固まっていたわたしたちも、次第に一緒になって声をあげたり手を振ったりしていた。
音楽なんてわからないし、ライブなんて行ったこともないわたしは完全に場違いだと思っていたけれど、音が鳴りだしたら、そんなの関係なかった。広瀬くんの言う通り、ノリでいいんだ。
最初だけ見て出るつもりだったのに、結局わたしたちはどちらからも出ようとは言わず、最後まで見ていた。
「楽しかったねーっ」
来海が満足げに言って、うん、とわたしも頷いた。
「最初はびっくりしたけど、楽しかったね」
「うちの学校ではあり得ないぐらい盛り上がってたね」
それから、と来海がニッコリ笑って言う。
「広瀬くんカッコよかったね」
「うん。カッコよかった」
普段なら言わないようなことも、さらりと言えてしまうくらい、興奮が冷めなかった。
体育館を出て、目がチカチカするほど鮮やかに彩られた校舎のなかを歩く。
うちの学校でも夏休み明けに文化祭なる行事があったけれど、ほとんど展示会みたいなもので、これとは似ても似つかないほどのショボさだった。
こんなお祭り、初めてだった。