「人の悪口を言うのは、じぶんに自信がないから。自信がある人は、人を貶めることでじぶんの価値をあげようなんて、思わないでしょ?」

「自信がないって……白河さんが?」

信じられなかった。可愛くて、明るくて、部活でも活躍してて、それだけ持っていれば充分じゃないか。一体、どこにコンプレックスを持つ必要があるのだろう。

「じぶんに自信なんて、全然ないよ。嫌なことも嫌って言えないし、1人になるのが不安だし、かわいいって言われても、じぶんではそんな風に思えないし……」

だから、と来海は続けた。

「だから、倉橋さんに声をかけたの。あの場所に、居づらかったから」

そうだったんだ。考えたこともなかった。

いつも楽しそうに笑っている来海でも、居づらいと思うことがあるなんて。