「びっくりした、けど……どこで知り合ったの?」
「えっと、声かけられて?」
来海が言いづらそうに答える。
「もしかして……この前言ってた、ナンパの人?」
「うん、そう」
照れたように頷く来海に、わたしは半開きの口でポカンとしていた。
無視したとか、バカは無理とか、話合わないとか、けっこうひどいことを言っていたような……。
「最初は無視してたんだけどね」
と来海は言う。
「でも、あまりにもしつこいから、連絡先交換して、なんとなくやりとりするうちに、意外にいい人だって知って。それでこの前、よかったら学祭に来ないかって誘われて、でも1人で行く勇気はなくて……」
来海は告白されても、通りすがりの男子にチラチラと視線を向けられても、まったく気にする様子はなかった。誰にも興味がないみたいだった。
でも、そうか。好きな人がいたからなんだ。
「あの2人は、知ってるの?」
「ううん、まだ倉橋さんにしか言ってないよ」
「なんで、わたしに……?」
前より話すことが増えたけれど、わたしよりあの2人のほうが、ずっと仲がいいはずなのに。