学校からの帰り道、駅までのそれなりに人通りの多い道で、

「愛音!」

「ひっ」

ほとんど飛びつく勢いで駆け寄ってくる広瀬くんを、わたしはサッと素早く避けた。

「だからそれ、やめてって言ってるでしょ」

わたしはそっけなく言って、定期を取り出してさっさと改札を抜けようとする。

「愛音はいつも怒ってるなぁ」

「あなたが怒らせてるの」

このやりとりももう何度目だろう。

やたらと距離感の近い広瀬くんに、わたしはついそんな態度をとってしまう。

おかげで最近、反射能力があがった気がする。