広瀬くんは驚いたように目を見開き、それから、

「わかった」

と頷いて、、いきなりわたしを抱き上げた。

「……!?」

「じっとしてて。すぐ横にしてあげるから」

「ど、どこに行くの?」

「んー、安全なとこ」

広瀬くんの返事は、まるで質問の答えになっていなかったけれど。

まあどこでもいいか、こんな状況なのに、わたしはそんな呑気なことを思った。

歩くたびにきみの腕から伝わる揺れが心地よくて、わたしはそっと目を閉じて、体の力を抜いた。