広瀬くんがやがて、足を止めた。


「愛音」

と、広瀬くんが言った。

「おれ、なんかーー」

と、そのとき。

「そこのきみ!待ちなさい!」

と、後ろから声が飛んできた。

思わず振り返って、わたしは目を見開いた。

「せ、先生……」

よりによって、学年主任で生活指導も務めている厳しい先生だ。運が悪すぎる。