学校帰りに、公園で待ち合わせをした。

この公園に来たのは2度目だった。

「愛音もテスト前なのに、ほんとにいいのか?」

「いいよ。わたしは直前にいちいち焦ったりしないし、どうせ1位だから」

「うわ、余裕」

あれから、3ヶ月前。生い茂った葉がトンネルのように頭上を覆っていたこの道は、いまでは枯れ枝が風にさわさわと揺れる寒々しい景色になっていた。

あれから、3ヶ月も経ったんだと思う。学校がある日はほとんど毎日、広瀬くんと一緒に電車で帰るようになった。

約束もしていないのに、いつのまにか、それが当たり前になって。

きみといると、自然に笑えた。帰り道が、ほんの少し楽になった。

だから。

大げさかもしれないけれど、だからわたしにできることがあるなら、力になりたいと思ったんだ。

「あそこいいんじゃない?」

と広瀬くんが指を指したのは、広場のそばにポツンと立っている東屋だった。

年季が入っているわりにしっかりした造りの屋根のおかげで、辺りを吹きすさぶ冷たい風を避けることができて、勉強するにはちょうどいい場所だった。