――神崎奇跡の死の真相。

 警察はすでに結論を出したはずの、その謎が心を占めてしまっているのだ。

 就職活動を今から始めるのであれば、来たる夏休みはそのためにほとんどの日程を奪われてしまうだろう。

 大学卒業まで、あと半年。いままで、凡人の身の丈に合った生き方を……と地味に地味に、堅実に堅実に生きてきた。

 でもそれは、近くに強烈な比較対象が、神崎奇跡がいたからだ。

 あの、大嫌いな姉が死んでしまった。

 私はどうしようもなく、そのあるかどうかも分からない死の真相にたどり着きたくてたまらない。

 その気持ちが、どんどんと膨らんできたのだ。

 神崎奇跡がバイトをサボれと言えば、それが何となく正しいことのように思えてしまう。