五月の半ばに教育実習へと出かけて行った加藤美鈴がいくぶん痩せて大学に帰ってきてから、もう数週間が経とうとしていた。

 そして私は依然として、就活サイトへの登録すらもしていない。

『どうする。ヒメ、登録してあげようか?』

「いや、いいや」

 本当は。

 自分のような凡庸な人間こそ、新卒入社にしがみつくために就職活動なるものに精を出さなくてはいけないことは分かっている。

 けれど、どうしても乗り気になれなかった。