いつも、門限ギリギリまで山之上神社から街並みを眺めた。茜色に染まる空。

 少しずつ灯っていく地上の灯。どちらが先に一番星を見つけられるかを競争した。

 いつも奇跡は言うのだった、

「一番星を見つけたら帰ろう」

 と。

 心配性の母をあまり刺激しないためには、よい帰宅の目安だったと思う。