眺望はすっかり夜景で、きっと恋人たちが並んで眺める用のダイアモンドの煌めきっていうやつに変わっていた。
「才谷さん、今日はありがとうございました」
「……、うん」
「結局、私ってどうして殴られたんですか」
「奇跡さんに、恋されてるって。そう言われてたのが、妬ましかったから」
「才谷さんは、言われたことがなかったんですか。姉から、その、『好きだ』とかそういう類のこと」
「ないよ。きっと、そんなことばはいらなかったんだ。奇跡さんと私の間には」
哀れっぽく言う才谷に、少しだけ迷って私は告げる。
「才谷さん、私は神崎奇跡の遺言に従って彼女のスマホを相続しました。なんと、個人用のT.S.U.K.U.M.O.システム入りです。オーバーテクノロジーですね。馬鹿げてるくらい高級品だったそうですよ」