バイクは疾走する。

 びゅんびゅん、景色が流れていく。

 いや、そんなものじゃない。

 電車や車とは全然違う。

 街という海を、私という魚がびゅんびゅん泳いでいく。

 全身を風が撫でていく。才谷杏子の駆る大型バイクの唸るエンジンと、オイルの臭いはなぜだか私の胸を高鳴らせた。