慌てて追いかける。

「ちょっ、ちょっと!」

「ふぅん、段ボールがたくさん。ああ、もしかして遺品整理?」

「そうですよ、っていうかあなた誰!?」

 あわあわとしながら、ポケットの携帯端末を充電器につなぐ。

 T.S.U.K.U.M.O.システム専用の珍しい旧式のスマートフォンである。

 はやく、はやく充電してヒメムラサキを起こさなくては。

「誰……、ね」

 オレンジ髪の美女は言う。

「才谷杏子。私は奇跡さんの」

 そうして言葉を探していたおっかない美女、もとい才谷は告げた。

「恋人」