「契約者様の変更、ということでよろしいでしょうか」

 携帯ショップ。

 完璧に優しげなスマイルを浮かべたスタッフの淀みない言葉に、無言でうなずく。

 目の前のテーブルには、時代に取り残されたような二つ折りの携帯電話が置かれている。

 いわゆる、ガラケーだ。白くつるりとして、そっけないフォルムをしている。

「承知いたしました。それでは、こちらの機種の契約者様変更をさせていただきますね」

「お手数をおかけします」

「お名前とお電話番号を確認ください。……神崎はるか様、で間違いございませんか」

「はい、間違いないです」

 神崎はるか。

 見慣れた私の姓名である。