遺品整理。

 その言葉で呼び出された、神崎奇跡が住んでいた町。

 そこは、私たちが生まれ育った町からおおよそ1時間30分ほど電車を乗り継いだところにある。

 新幹線ひかりは、東京と名古屋を2時間たらずで結ぶ。

 同じ首都圏と呼ばれるところにあるのに、移動時間は名古屋にいくのと変わらない。

 時間は変わらないのに、かかった運賃は十分の一以下だ。

 たぶん、リニアモーターカーなんかが開発されたら名古屋に行くほうがもっと早く、そしてもっと高くなるのだろう。

 タイム・イズ・マネーを噛みしめる。