1章 キセキの死と電脳つくも神 昔から、中古品が苦手だった。 だって、それは永遠に自分のものにはならないから。 初めて中古品というものを手に取ったのは、古本だった。 ぺたぺたとした独特の感触の表紙。 紙に染み付いた煙草の匂い。 時間を吸い込んで変色した紙。 どれもこれもが元の持ち主の思い出だとか、あるいは情念だとか。 そういったものをたっぷりとまとっているような気がして。 それがなんというか、とても気味の悪いものに思えた。