ヒメムラサキ……いや、勿忘草の顔で告げられる恋文に私は立ちすくんだ。

 嫌われたのだと、思っていた。

 捨てられたのだと、思っていた。

 なのに神崎奇跡からのこの最期の恋文は、私のことを好きだと告げる。



「私も、大好きだったんだよ。お姉ちゃん」

 沈まぬ夕焼け空、

 私は深く深くため息をついた。

 なぜだか笑いがこみあげてきて。

 ああ、きっと今、私は神様みたいな笑みを浮かべているんじゃないかなと思った。

 こんな思いを知ってしまって。

 これから一体、どうしよう。

 そんなことに頭を悩ませていた、そのとき。



「さようなら」




 と、唐突に声がした。