もぐもぐしていると、端末の中のヒメムラサキがぼやく。

『ヒメが作った方が絶対に美味しいよ?』

「うん、分かってるよ。でもたぶん、これがなんだろう、旅情ってやつなんじゃないかなっていう確信があるんだよ」

『絶対ちがうと、ヒメは思います』

 初めての旅行にウキウキと弾む心とともに、フォークを持つ。

「いただきます」

 小さく呟きスクランブルエッグを、一口。

 ……ケチャップ欲しいな。