相手は、ヒメムラサキ。神崎奇跡のT.S.U.K.U.M.O.システムだ。

 私とは何もかもが違う、特別に特別を重ねたような姉の持ち物だ。

 神崎奇跡のせいで、私の半生は劣等感や無力感がいつだって付きまとっていた。

 神様の妹なんて、こりごりだ。

 そう思っていたし、今でもそう思っている。

 彼女が生前手にしていた、個人用の仮想神格システム。

 その、なぜだか神崎奇跡にそっくりの顔をしたインターフェイスに、ただ一言、「恋人』と言われただけで、フワフワと浮足立ってしまう。

 あんなの、いつもの冗談に決まっている。

 それに、ヒメムラサキは……神崎奇跡の遺品なのだ。

 私は中古品は好きじゃない。

 元の持ち主の情念が染み付いて、どんなに私が心血を注いで大事にしても、決して本当に私のものになるわけではないから。

『はるちゃん?』

 もぞり、とシーツが動く。