ぽっぽと顔が火照っている。

 少女の見た目をした仮想神格システム。

 毎日、家で私を待っていてくれる存在。

 ……恋人。いやいや、そんな、ありえないし。

 思わずベッドからガバッと身を起こした反動で、ヒメムラサキの小さな体が跳ね飛ばされる。

『きゃんっ!』

 と声を上げて、ベッドのスプリングでぽよんと弾んだ。

「わあ、ごめんヒメムラサキ!」

『な、なによ、はるちゃん。どうしたの? 顔、真っ赤だよ』

「な、なんでもない」

 思わず、バスルームに逃げ込んだ。バタンと閉めたドアにもたれかかって、大きく息をついた。バクバクと心臓が鳴る。

 ――私は一体、何に狼狽えているんだ?