「うう、困ったな……」

 呻いていると、ヒメムラサキがきゃんきゃんと叫ぶ。

『充電、必要量を確保しました! はるちゃん~、早く早くっ』

「……顕現せよ、ヒメムラサキ」



『声紋認証を確認。仮想神格システムT.S.U.K.U.M.O.個体名【ヒメムラサキ】顕現します』



 シークエンスに乗っ取った動作に、そういえば本日最初の顕現だったと思い出す。

 こんな夕方までヒメムラサキの実体に会っていないなんて、この半年で初めてかもしれない。

『はるちゃん、お疲れ様っ!』

「うぐぐ、重いよ」

 ぎゅう、とうつ伏せで寝ている上から伸し掛かられる。

 やめて、と言いつつ、その重さと温かさが心地よかった。