ふと、私は気づく。

「ここ、大浴場はないんだよね」

『うん、そうみたい』

「シャワー、浴びなきゃ……」

 布団に体が吸い付いてしまったみたいで、どうにも動けない。

 とはいえ、寝落ちしてしまいそうかといえば、そういうわけでもなかった。

 体は確実に疲れていて、バギバキに強張っているのに神経は変にたかぶってしまっていて眠れない。

 旅行や遊びには縁がない。

 バイトがあっても、レポートがあっても、規則正しい(ただし朝は起きられない)生活は崩さない。

 ましてや、徹夜なんてもってのほか。

 凡人なりに計画性があることがウリの私にとって、ほとんど初めて味わう感覚だった。

 少し気を抜けばぶっ倒れそうなのに、全然リラックスできる感じがしないのだ。