あへぇ、と声を出したヒメムラサキに、ベッドから起き上がれないままで噴き出す。

「ふふ、何その声」

『なんだろ、熱いお風呂に入ったとき的な声かな』

「ああ、ちょっと納得かも」

『ほんとに?』

 気の置けない会話。

 独り言を続ける怪しい女になる勇気がなくて、ほとんど移動中はヒメムラサキと話せなかった。

 『この旅行中は、ヒメとたくさんお話ししようね』――というリクエストにお応えするタイムは、いまからスタートということになる。