それを聞いたときには、そんなふざけた遺書がまかり通るのかと思ったものだけれどど

 どうやら自筆の遺言書の書面に、

・作成年月日
・遺言者の氏名
・遺言の内容が自筆で書いてあり、
・印鑑が押されている

 ……という状態であれば公的な遺言書として機能するとのことだった。

 なるほど、神崎奇跡はきちんと調べてこの遺言書を作成したらしい。

 でも、J-POPに七五調はどうなんだろうと思う。どっちかにしろよ、どっちかに。
 ちなみに、遺書の日付は、神崎奇跡の死の四年も前のものだった。

 享年、二十六才。

 美しい神様みたいな姉は、こうしてこの世から去った。

 あっけないものだ。

 秋になって私の誕生日が来たら奇跡との年齢差はひとつ縮まる。

 いつか彼女の年齢を追い越すのだと考えると、なかなかぞっとしない話だと、心の底からそう思う。