しかし後日。
大家の立会いのもとで悲嘆にくれる両親が奇跡の部屋に行くと。
生活感のまったくない部屋の片隅。
重要書類が詰め込まれた箱の中から、一通の遺書が見つかった。
あわや、あれは自殺だったのか――誰もがそう思った。
しかし、弁護士立会いの下で開封した遺書はそっけなく、誰もが期待した彼女の死の真相を解き明かすような内容ではなかった。
遺書の内容を要約すると、以下の三つのことがらが綴られていた。
・家族への感謝
・自殺しようという意思はまったくないという念押し
・自分が死んでしまったときにはT.S.U.K.U.M.O.システム【ヒメムラサキ】を妹である神崎はるかに相続させてほしいこと
家族と今まで出会った人への感謝が何故かJ-POP調につづられている書き出しに開封者全員が絶句したそうだが、そこは神崎奇跡のやることなので仕方がない。
ちなみに、後半は七五調だったそうだ。