「ていうか俺、バカだよな。未来の俺に嫉妬してたんだよ。しょうって誰だよ、って。気付いてなかったろ」
「全然。だってあたしこんな坊主頭で相手にされるなんて思ってなかったもん」
「なかなか似合ってると思うよ。さあ、帰って飯にしよう。腹減った」
晶はタクシーを呼んで、あたしを家まで送ってくれた。
だけど、2日も学校をサボって幼なじみとはいえ男子とふたりきりで、ってめちゃめちゃ怒られた。
あたしたち酷い恰好だったから、那須の山で迷子になって避難してたって言ってなんとかごまかしたけど、入院中の軍服事件のこともあって晶のお父さんがカンカンだった。
軍服事件というのは、警察に軍服を取りに行ったときのこと。
晶の言い訳が酷かったのだ。
『血色の悪い弥生にどうしても軍服を着せたくなってしまって!写真展に出したくて!』
なんと、自分のしたことにしたのだ。しかも、こんなふざけた理由をでっちあげて。当然、こってり絞られたし、親も来るわの大騒ぎ。
あたしが怒っていないことで収まりはついたけど、こっちの親が気にしなくても晶の親があたしや親に平謝りで、見ていられなかった。
それでも無事、みんなの思いが詰まった軍服が戻ってきた。ひとつひとつ、口の閉じるビニール袋にしまわれて。
軍服上下に、ちぎった山根さんのボタン、昇さんのフィルム……それに、向井さんの刀。
警察に持っていかれたとき、これは正直マズイと思っていたの。だけど、向井さんの軍刀は、錆びついていて鞘が抜けなかった。
それで咄嗟に晶が、レプリカで中身はないって、またバレたらヤバい嘘をついたんだけど、いろいろと呆れきっていた警察はそれを聞いてめんどくさそうに書類を書いて全部を返してくれた。
陸軍オタクみたいな刀に詳しい人が警察にいなくてよかった、って、心から思ったよ。
そんなこともあって、晶のお父さんはあたしを気遣ってもう近付くなと激怒りなのだ。
それでも何も言わないでいてくれた晶は、やっぱりあの我慢強い昇さんなんだな、って、平和な時代でも、こうして晶はあたしを守ってくれるんだな、って、嬉しい気持ちになる。
「全然。だってあたしこんな坊主頭で相手にされるなんて思ってなかったもん」
「なかなか似合ってると思うよ。さあ、帰って飯にしよう。腹減った」
晶はタクシーを呼んで、あたしを家まで送ってくれた。
だけど、2日も学校をサボって幼なじみとはいえ男子とふたりきりで、ってめちゃめちゃ怒られた。
あたしたち酷い恰好だったから、那須の山で迷子になって避難してたって言ってなんとかごまかしたけど、入院中の軍服事件のこともあって晶のお父さんがカンカンだった。
軍服事件というのは、警察に軍服を取りに行ったときのこと。
晶の言い訳が酷かったのだ。
『血色の悪い弥生にどうしても軍服を着せたくなってしまって!写真展に出したくて!』
なんと、自分のしたことにしたのだ。しかも、こんなふざけた理由をでっちあげて。当然、こってり絞られたし、親も来るわの大騒ぎ。
あたしが怒っていないことで収まりはついたけど、こっちの親が気にしなくても晶の親があたしや親に平謝りで、見ていられなかった。
それでも無事、みんなの思いが詰まった軍服が戻ってきた。ひとつひとつ、口の閉じるビニール袋にしまわれて。
軍服上下に、ちぎった山根さんのボタン、昇さんのフィルム……それに、向井さんの刀。
警察に持っていかれたとき、これは正直マズイと思っていたの。だけど、向井さんの軍刀は、錆びついていて鞘が抜けなかった。
それで咄嗟に晶が、レプリカで中身はないって、またバレたらヤバい嘘をついたんだけど、いろいろと呆れきっていた警察はそれを聞いてめんどくさそうに書類を書いて全部を返してくれた。
陸軍オタクみたいな刀に詳しい人が警察にいなくてよかった、って、心から思ったよ。
そんなこともあって、晶のお父さんはあたしを気遣ってもう近付くなと激怒りなのだ。
それでも何も言わないでいてくれた晶は、やっぱりあの我慢強い昇さんなんだな、って、平和な時代でも、こうして晶はあたしを守ってくれるんだな、って、嬉しい気持ちになる。