「さて先程もお願いしましたが、電波天文台は微弱な電波を受信しているので、電波を発する機械……携帯電話やスマホの電源がOFFになっているか、もう一度よーく確認してくださいね」
案内の人がそんなことを言っていたのを、機内モード設定中のあたしは右から左にスルーして階段を進んだ。
「めちゃめちゃイイ眺め!」
「わ!ほんとだ!ねぇ海!海は?…さすがに見えないかぁ」
海は見えないけど、桜の並木を見下ろす眺めが最高。あたしはこっそりとその眺めをスマホに収めた。
シャラリーン♪
「こら!古賀さんスマホOFFにして!」
「はぁーい、ごめんなさーい」
シャッター音で近くにいた担任に見つかって、叱られた。機内モードなんだから別にイイでしょ。電波、発してませんよーだ。
ムカつく、と思いながらその場で画像を確認したら、桜並木が写っていなかった。
「あれ…?」
いくつか前にスワイプしてもどこにもなくて、一番最後にあるのは白い砂浜の海だった。こんなのダウンロードした覚えはない。
観光地のような賑わいはなくて、ザ・自然天然という雰囲気。
海の水がキャンディみたいに青くて、どこまでも透明で。大きな入り江の奥に見える白い空に、飛行機がたくさん飛んでいる。そんな少し不思議な風景。
なんだろう、この空……どこかで見たことある感じ……。
……って、あれ? なんだか地面がぐにゃぐにゃする……?
地震? ううん、違う、あたしだ。あたしが揺れてる。だめ、どうしよう、立っていられないよ!嫌だ、フラフラぐにゃぐにゃで気持ち悪い、何これ!?
視界が歪んで、周りの音が遠ざかって、少し先にいた玲奈が駆け寄ってくるのが見えて……。
それを最後に、あたしの景色はただの真っ暗闇になった。
案内の人がそんなことを言っていたのを、機内モード設定中のあたしは右から左にスルーして階段を進んだ。
「めちゃめちゃイイ眺め!」
「わ!ほんとだ!ねぇ海!海は?…さすがに見えないかぁ」
海は見えないけど、桜の並木を見下ろす眺めが最高。あたしはこっそりとその眺めをスマホに収めた。
シャラリーン♪
「こら!古賀さんスマホOFFにして!」
「はぁーい、ごめんなさーい」
シャッター音で近くにいた担任に見つかって、叱られた。機内モードなんだから別にイイでしょ。電波、発してませんよーだ。
ムカつく、と思いながらその場で画像を確認したら、桜並木が写っていなかった。
「あれ…?」
いくつか前にスワイプしてもどこにもなくて、一番最後にあるのは白い砂浜の海だった。こんなのダウンロードした覚えはない。
観光地のような賑わいはなくて、ザ・自然天然という雰囲気。
海の水がキャンディみたいに青くて、どこまでも透明で。大きな入り江の奥に見える白い空に、飛行機がたくさん飛んでいる。そんな少し不思議な風景。
なんだろう、この空……どこかで見たことある感じ……。
……って、あれ? なんだか地面がぐにゃぐにゃする……?
地震? ううん、違う、あたしだ。あたしが揺れてる。だめ、どうしよう、立っていられないよ!嫌だ、フラフラぐにゃぐにゃで気持ち悪い、何これ!?
視界が歪んで、周りの音が遠ざかって、少し先にいた玲奈が駆け寄ってくるのが見えて……。
それを最後に、あたしの景色はただの真っ暗闇になった。