「あれ…これハマグリだ。持って帰れないよ」
「え? そうなの? なんで?」
晶が、あたしの収穫した貝を見て残念そうに苦笑いした。
「ハマグリは半養殖っていうか、数が少なくなっちゃって漁師さんたちが管理してるんだよ。あ、ほら、あっちにはハマグリ禁止の看板もあるよ」
「えー、そうなんだ。せっかく大きいの獲れたと思ったのに」
「ねーちゃんざまぁー!」
「本当ムカつく! 死ね!」
「ほらほら、そんなこと言わない」
そういうことなら仕方ない、とツヤツヤのハマグリを砂に戻すことにした。獲れた貝が一気に半分くらいに減ってしまったから、また掘らなきゃ。
「あ、なんかかわいい」
「お」
「すげー! 動いてる!」
ため息をついて下を向いたら、砂に戻した貝が自力で潜っていた。ゆっくりだけど、もぞもぞ動いて少しずつ隠れていく。
こんな姿だけど、やっぱり生き物なんだぁ。ちょっと感動かも。でも、こういうの見てしまうと、かわいそうで食べられなくなりそうだ…。
カシャっ
あっ、また!
「やだもう撮んないで、ホント無理だから」
「…………」
「なによ?」
撮ったあと、いつもなら写真を確認して満足げに笑うのに、晶がやけに真顔で液晶画面を見つめていた。
眉間にしわが寄って、眉がいつもより凛々しい。まつ毛、意外と長いんだ……って、なに見てるのあたし!
「弥生、あんま離れんなよ」
「え?」
不意打ちとはこのことで。
あたしの心臓がビクンと飛び跳ねる。
貝探しを再開して葉月が後ろを向いたのと同時に、晶がいきなり低い声で耳打ちしてきた。
不覚にも、その声にドキドキが止まらない自分に驚いてる。
え? 何?
なんでこんなヤツにドキドキしてるんだろ……。
「べっ、別にどこでやってもいいでしょ!」
「あっ、おい」
びっくりし過ぎて、つい、いつも以上に塩で対応してその場から逃げるように離れた。
だって。
ホントにびっくりしたんだもん。
さっきの真顔、低い声。まるで別人みたいだった。
「え? そうなの? なんで?」
晶が、あたしの収穫した貝を見て残念そうに苦笑いした。
「ハマグリは半養殖っていうか、数が少なくなっちゃって漁師さんたちが管理してるんだよ。あ、ほら、あっちにはハマグリ禁止の看板もあるよ」
「えー、そうなんだ。せっかく大きいの獲れたと思ったのに」
「ねーちゃんざまぁー!」
「本当ムカつく! 死ね!」
「ほらほら、そんなこと言わない」
そういうことなら仕方ない、とツヤツヤのハマグリを砂に戻すことにした。獲れた貝が一気に半分くらいに減ってしまったから、また掘らなきゃ。
「あ、なんかかわいい」
「お」
「すげー! 動いてる!」
ため息をついて下を向いたら、砂に戻した貝が自力で潜っていた。ゆっくりだけど、もぞもぞ動いて少しずつ隠れていく。
こんな姿だけど、やっぱり生き物なんだぁ。ちょっと感動かも。でも、こういうの見てしまうと、かわいそうで食べられなくなりそうだ…。
カシャっ
あっ、また!
「やだもう撮んないで、ホント無理だから」
「…………」
「なによ?」
撮ったあと、いつもなら写真を確認して満足げに笑うのに、晶がやけに真顔で液晶画面を見つめていた。
眉間にしわが寄って、眉がいつもより凛々しい。まつ毛、意外と長いんだ……って、なに見てるのあたし!
「弥生、あんま離れんなよ」
「え?」
不意打ちとはこのことで。
あたしの心臓がビクンと飛び跳ねる。
貝探しを再開して葉月が後ろを向いたのと同時に、晶がいきなり低い声で耳打ちしてきた。
不覚にも、その声にドキドキが止まらない自分に驚いてる。
え? 何?
なんでこんなヤツにドキドキしてるんだろ……。
「べっ、別にどこでやってもいいでしょ!」
「あっ、おい」
びっくりし過ぎて、つい、いつも以上に塩で対応してその場から逃げるように離れた。
だって。
ホントにびっくりしたんだもん。
さっきの真顔、低い声。まるで別人みたいだった。