「ケン、私を助けるって言ったよね。それって、私が何度も9月26日をやり直しているのと関係があるって事?」


ケンは知っていたんだ。私が何度もタイムリープしてるって事を。そして、それを知っているという事はケンも何度もタイムリープしているという事。


「それに未来から来たって、どうやって?」

「ストップ」


未来から来たケンは私の言葉を制するように右手の平を私に向けた。


「順を追って話をしよう。時間もどれくらいあるのか分からないが、ちゃんと話すから」


私は小さく頷いた。


「うん、分かった」

「けどその前に」


私の言葉に乗っかるようにしてそう言ったのは現在のケン。ケンはいつもの平静を装った顔をしていた。私のタイムリープの事を理解してくれたからこそ、この状況をケンなりに理解しようとしているに違いない。


「俺のスマホ、返してくれるか?」

「ああ、けど警察に連絡しようとするなよ」

「ああ、分かってる……今のところはな」


お互いに釘を刺し合うようにして、未来のケンは現在のケンにスマホを返した。

未来のケンは一度外した眼鏡をかけ直し、再び口を開いた。


「俺は未来からやって来た。なぜならば、カヨ、お前は今日トラックに轢かれて死ぬからだ」


心臓がドクンと大きな音を立てて、その衝撃に私は思わず倒れそうになった。心臓の鼓動なんて大した衝撃ではないはずなのに、今の私には足元を揺らす地震と同等の力を感じた。