「とりあえずさっさと座れ、HR始めるぞ」


先生が出席簿に視線を落としながら、私とケンをあしらうように手を振り、席に着くよう促した。


「今日は先週伝えておいた通り体力テストを行う。HRが終わったら体操着に着替えるように」

「げっ!」


えー、体力テスト!? すっかり忘れてた!


体力に自信のないクラスメイト数人が同じような反応を示してる。私も体力に自信ないし、測定したところで結果は見えている。去年より下回るか、同じかのどっちかで、その去年の結果も大したことはなく、クラスで下のレベルだし。

測定するだけならまだしも、その測定する方法も好きじゃない。特にシャトルランが私は大っ嫌いだ。あれは疲れるし、自分の非力さが周りと比べやすいから泣けてくるし。


「種田は体力テストがどうも嬉しいみたいだな」


性格が悪い担任の先生がそんな言葉を投げかけてきたけれど、私はそれを受け流す。机に突っ伏して、体力テストが終わった後のことを想像した。

時間がスキップできたらいいのに。もしくは、体力テストが無くなればいいのに。