「タイムリープしてるって言ってるでしょ? 私はタイムリープして同じ日を何度もやり直しているみたいなの。前回の時にケンに初めてこの事を打ち明けたら、ケンが今と同じように信じるって言ってくれたから」

「まぁ……なんかそういう話どっかでも聞いたことあるからな」

「そうなの?」


それは驚きなんだけど。って言ってもケンの場合は間違いなくテレビかインターネットでなんだろうけれど。


「それに、タイムリープっていうのは現実的ではないってだけであり得ない話ではないからな」

「うん、それは聞いた」


前回の時のケンからだけど。


「それで、お前はなんでまた何度もタイムリープしてるわけ? しかもどうやって?」

「それが分からないから私は困ってるんだってば」


学校へ向かう途中の通学路。歩きながら私の覚えている記憶の全てをケンに伝えた。


「……それで、お前はこのループから抜け出すためにまた9月26日をやり直してるってわけか」

「そう、それとーー」


私はどんどん迫り来るあの交差点がある方角に目を向けた。


「今回は何度も出会うあのおじさんと私は話をしようと思ってるんだ」


あの人はこう言った。


『俺はお前を救いに来たんだ!』


どうして私は何度も同じ日を繰り返しているのか分からないし、今日がどうして私にとってこんなについてない日なのかも分からない。

だけど、あの人が間違いなく何かを知ってるのは確かだ。


「けど、気をつけろよ。お前を危険にさらしたやつなんだろ?」

「うん、でも何度も助けようとしてくれたのも確かだから」


私は再び靴元に目を向けた。そしてそのままポケットに入ってるものを取り出した。


「靴紐?」

「うん、この後必要になるからね」


家を出る前に新しい靴紐の予備を掴んできてた。靴紐が切れた後、変えたところでどう運命が変わるのかは分からないけれど、持ってるだけでお守り代わりくらいにはなる気がした。